研究課題/領域番号 |
08740671
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
系統・分類
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
田村 実 大阪市立大学, 理学部, 講師 (20227292)
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研究期間 (年度) |
1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1996年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | ユリ科 / アマドコロ属 / trnK遺伝子 / matK遺伝子 / イントロン / 塩基配列 / アラインメント / 系統 |
研究概要 |
本研究では、ユリ科のアマドコロ属とその近縁属植物のtrnK遺伝子DNAの塩基配列を各種ごとに決定し、それらを直接比較することによって系統解析を試みた。比較したDNA領域は、(1) trnK遺伝子イントロン上に位置し、trnK遺伝子内のDNA領域の中では近縁種間でも変異をあまり含まないと推定したmatK遺伝子の上流域412bpと、(2)trnK遺伝子内で比較的多くの変異を含むと推定した3'trnKイントロン約250bpとであった。 その結果、matK遺伝子上流域では、ある一定の長さのDNA断片の挿入・欠失(length mutation)が比較的少なかったので容易にアライメントでき、各種間の塩基配列の比較を客観的に行うことができた。しかしその反面、各種間での塩基配列の変異が少なく、それは近縁種間の系統解析には不十分な程であった。また、3'trnKイントロン領域では、length mutationが多く、幾通りかのアライメントが可能となり、各種間の塩基配列の比較が困難であった。 課題としては、matK遺伝子領域の解析に関しては、より長い塩基配列を決定、比較して、より多くの変異を得る必要があった。また3'trnKイントロン領域の解析では、より多くの種を解析して、最大公約数的なアライメントを見つけ出さなければならないことがわかった。 従って、近縁種間の系統解析は現段階では不十分であった。しかし、近縁属間の解析については興味深い結果を得た。すなわち、今回のtrnK遺伝子の解析結果は、一昨年Chase等が行ったrbcL遺伝子の解析結果とは著しく異なり、形態や染色体による系統解析の結果とほぼ一致した。この理由として(1)ユリ科の近縁属間では、rbcL遺伝子の変異は十分には蓄積されていないが、trnK遺伝子では変異が蓄積されている、(2)ユリ科ではrbcL遺伝子とtrnK遺伝子の進化が同調していない、等が現段階では考えられる。
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