研究概要 |
核リボソームRNA遺伝子のITS(internal transcribed spacer)領域の塩基配列を、ラン科セッコク連(tribe Dendrobieae)の姉妹群候補、14属、23種について比較し、系統解析をおこなった。その結果を、葉緑体DNAの制限酵素断片、およびrbcL遺伝子の塩基配列の情報にもとづいて構築した分岐図と比較したところ、信頼区間の高い部分についてよく一致し、従来の分類体系の再検討が必要であることが分かった。 すなわち、(1)セッコク亜連が偽系統群であること、(2)Pseuderiaがセッコク亜連でなくオサラン連のメンバーであること、(3)Pseuderiaを除くセッコク亜連はクレイド1(Dendrobiumの一部,Cadetia,Diplocaulobium,Flickingeria)、クイレド2(Dendrobiumの一部)、クレイド3(Epigeneium)の3群からなること、(4)その結果Dendrobiumが偽系統群となること、以上の諸点を明らかにした。 他方、一部の分類群のITS領域は遺伝子重複を起こしており、orthologousな塩基配列を比較していることを確実にするためには、さらに研究を進める必要のあることが明らかになった。
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