・東京大学、国立科学博物館所蔵の縄文時代から江戸時代に至る古人骨、および九州大学所蔵の弥生時代人骨と中世に属する古人骨について保存状態を調べた。顎骨と歯列について、復元されていないものについては新たに復元を行ない、元来の復元に歪みのあるものや破損しているものについては復元の修正を行なった。 ・復元が完了し、計測に支障がないと判断された資料について、主に寛骨や頭骨の形態から性別を判定し、頭骨について脱落歯の有無、齲蝕、歯牙形成段階、歯牙咬耗度、歯のサイズ、中切歯の垂直的および水平的被蓋、顎骨のサイズ、頭骨最大長および最大幅などを計測した。 ・上記人骨の側面観について、600mm相当の望遠レンズを用いた写真撮影を行なった。これを1.5倍に拡大してプリントし、歯槽側面角などの計測を行なった。 ・以上のデータセットをもとに、各時代集団における歯列形成機序を、特に歯牙咬耗度との関連に注意しながらモデル化した。続いて幾つかの観察事項から、これらのモデルの妥当性について検証した。 ・各時代における歯列形成機序と歯槽性突顎度との関連を検証した。次ぎに各時代集団内における頭骨長幅示数と歯槽性突顎度の相関について調べ、さらに顎骨の退縮の時代推移パターンと歯槽性突顎度の時代変化パターンの比較を通じて前者の後者に対する寄与の大きさについて調べた。 ・これらの分析を通じて、日本人における歯槽生突顎度の時代変化を生じた原因について検討した。
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