基板結晶表面に形成した人工的な歪または表面エネルギー分布が、自然形成型量子ドット形成に与える影響を調べることにより、量子ドット形成機構を解明し、量子ドットの形成位置、寸法を制御するための基礎データを得る事を目的とし、以下のような成果を得た。 1)Valence-force-field法を用い、自己形成量子ドットの垂直配列が生じているInAs/GaAs系の歪場の解析を行い、垂直配列が生じるために必要な成長層表面での面内歪差を求めた。 2)AlAs/GaAsおよびAlP/GaP分数超格子を用いることにより、InAs/GaAsにおいて自己形成量子ドットの垂直配列を生じさせ得る面内歪差以上の面内歪差を与えられることを示した。 3)InP/GaPヘテロエピタキシャル成長の成長モードについて検討し、1.1MLから3次元成長に変化するStranski-Krastanovモードであることを、理論的、実験的に示した。 4)InP/AlPヘテロエピタキシャル成長の成長モードについて検討し、0.7MLから3次元成長に変化するVolmer-Weberモードであることを、理論的、実験的に示した。 以上の結果を基に、自己形成量子ドットを特定の領域内に形成可能であることを示した。今後は、実際に分数超格子を作製し、量子ドットの形成位置の制御を実現していく予定である。
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