研究概要 |
二次元電荷移動分子として3,6-dinitro-N-heptylcarbazoleを用い、この分子をポリマーマトリクス(poly (methyl methacrylate),PMMA)中に分散したゲストーホスト系の薄膜を作製して、電場配向による吸収及び屈折率の変化と配向緩和を経時的に測定し、一次元電荷移動分子(3-nitro-N-ethylcarbazole)を用いた材料との比較検討を行なった。 carbazole濃度は約5wt%とし、スピンコート法により薄膜試料をPyrexガラス基板上に作製した。電場配向はコロナポーリング法により行い、屈折率およびその異方性はm-line法(プリズム結合法)により測定した。 電荷移動遷移による吸収ピークの吸光度の電場配向による変化から配向度を評価した。二次元電荷移動材料では試料の吸光度が電場配向により増加し、一次元電荷移動材料では減少するという結果を得た。最適化されたポーリング条件のもとでは、いずれの材料でもほぼ同じ配向度が得られることが分かった。 屈折率測定は、He-Neレーザ(632.8nm)および半導体レーザ(832nm)を用いて行なった。電場配向による屈折率変化および異方性は、二次元電荷移動材料では一次元電荷移動材料の半分近く抑えられていることが明らかになった。 このように、二次元電荷移動材料は屈折率変化の点でも素子応用上有利な特性を持つことが実証できたので、今後は光第二高調波発生素子などを作製して素子レベルでの二次元電荷移動材料の優位性を実証していくことを計画している。
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