研究概要 |
1.球圧子押込み法による,複合材料の繊維・母材界面の疲労試験システム拡張し,温水中での界面疲労強度測定を可能とした.本手法は,繊維直交面に球圧子による繰返し押込み荷重を与えることで,試料表面に界面疲労微小き裂を発生させるものである.常温,50°,および80°水中で試験を実施し,界面疲労強度の温度依存性を検討した. 2.界面疲労試験で発生する微小き裂の伝ぱ挙動を,積層板の破壊をもたらす長いき裂の挙動と比較するために,繊維強化複合材料を繊維と樹脂の非均質材料と見るメゾメカニックス解析を行い,両者の応力状態を比較した.長いき裂の場合,メゾメカニックス解析によるエネルギ解放率は従来の均質異方性弾性解析による値と一致する.しかしながら,微小き裂の場合は両解析モデルによるエネルギー解放率が一致ぜず,この点で長いき裂とは大きな違いがあることが明らかとなった。 3.炭素繊維/エポキシ積層板の層間はく離疲労破面のフラクトグラフィ的検討を行った.疲労破壊は繊維/樹脂界面の微視破壊とマトリックス樹脂の微小割れが集積したものであるが,初めに繊維/樹脂界面がはく離し,そのはく離部分を起点にマトリックスの微小割れが成長していく.したがって,積層板全体の疲労破壊において,界面の微視破壊が大きな役割を果していることが明らかとなった.
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