研究概要 |
トラクションドライブは入出力軸の支持誤差によって転動体の接線速度の方向は異なり,いわゆるスキューが生じる.本研究では,疲労形態も含む疲労強度に対するスキューの影響をローラー疲労実験によって調べ,疲労強度に対する滑り率の影響とスキューの有無との関連性を検討することが本研究の目的である. 今年度中は一定の荷重の下で,スキューの有無によるローラーの損傷現象と疲労寿命の変化を調べる実験を行った.その結果,損傷は何れもスポーリングであるが,滑り率(Δv/v_1)0.44%,1.23%で,疲労寿命は9.2X10^6,9.8X10^6に対し,スキュー角5degを加えることによって疲労寿命は約15%減少していることがわかった.また,荷重は高くなるに連れ,スキューによる疲労寿命の短縮は無くなることも明らかにした.今後は引き続き実験重ね,また,ローラー表面および表面下の残留オステンナイト量の計測を行い,トラクションドライブ用ローラーの疲労損傷形態・疲労強度とそれらに及ぼすスキューの影響を明らかにする所存である.
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