研究概要 |
大気吹出し式超音速風洞を用いて,幅32mmで広がり半角10°,設計マッハ数3.2の二次元過膨張ノズル内に衝撃波を定在させ,シュリーレン法による流れの可視化と圧力センサーによる壁面静圧測定,および高速度カメラとラインイメージセンサーによる衝撃波の振動計測を行った.得られたデータを解析し,考察することにより,衝撃波による乱流境界層のはく離に対する圧力上昇などの時間平均的な流れ特性と衝撃波の振動などの非定常的な特性を明らかにした。本研究で得られた結論は以下の通りである. 定常特性について (1)ノズル壁面静圧は,干渉開始点から急激に上昇し,境界層のはく離点の位置で折れ曲がりを生じる.この壁面静圧の折れ曲がりの時間的平均位置は,シュリーレン写真から読み取った衝撃波による乱流境界層のはく離点の平均位置にほぼ一致する. (2)乱流境界層のはく離点の位置の壁面静圧p_sと干渉開始点の位置の静圧p_1の比p_s/p_1は,干渉開始点の主流マッハ数M_<1e>が一定の場合には,境界層厚さにもとづくレイノルズ数Re_<δ1>の増加とともに増加し,Re_<δ1>が一定の場合には,M_<1e>の増加とともに増加する. 非定常特性について (1)衝撃波の振動振幅は,衝撃波のはく離が生じるまでは,主流マッハ数M_<1e>によらずほぼ一定であるが,はく離が生じると,M_<1e>の増加とともに増加する. (2)衝撃波と乱流境界層が干渉する領域の流れの振動周波数は,干渉領域上流と下流では,数10kHzであり,干渉領域では数100Hzである.従って,衝撃波の振動原因は,干渉域上流の乱流境界層の変動や下流の気柱共鳴ではなく,衝撃波足元の領域にある.
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