研究概要 |
火炎自らが出す熱放射の投影データから,CT手法を用いて燃焼火炎断面の温度分布を求める計測手法の開発を目的とし,メタン空気混合炎を対象とした測定実験を行った.光源にハロゲンランプを使用し,InGaAsを検出器に用いた128素子近赤外アレイセンサ(観測波長域0.7μm〜1.4m)を用いて投影データを収集する計測システムを試作し,実験を行った. 推定された温度は真の値(約1800K)から約800K低く,精度は十分ではないが,分布の形は正しく推定できた.この結果は,従来の燃焼ガスによる吸収を考慮しない方法に較べると,かなり真の値に近付いた結果となっている.測定誤差の原因は観測波長で燃焼ガスの吸収が小さい,すなわち,放射率が小さいため,吸収の測定誤差が,放射率の補正を行う際に大きく影響し,誤差を増大させるためと考えられる. 吸収の測定精度を向上させるために,半導体レーザー(LD)を用いて分光した吸収の計測を試みた.LDを光源として炎の温度を計測するまでには至っていないが,赤色LD(波長635nm)で一酸化炭素(CO)を計測し,LDの温度を変化させると発振波長を変調できることを利用すると,気体の分光スペクトルが選択的に計測できる見通しを得た. 今後は,LDを光源として利用した計測システムを構築し,温度の測定精度向上と成分濃度の計測法の開発を行う予定である.
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