研究概要 |
燃焼容器に充填した量論のプロパン/空気を火花点火して燃焼させて高温の既燃ガスを作る.この既燃ガス中にガスを弱いジェットの形で噴射し,そのときの発光形態を観察した.観察は容器側壁に取り付けられた観測窓から行われ,撮影はイメージインテンシファイア-を取り付けた高速度カメラで行った.映像の定量性,定性性を確保するためもあって,撮影と同時に電子冷却をした光電子倍増管で発光測定を行う.計測波長範囲は300〜920nmである.噴射したガスは量論のプロパン/酸素/窒素,窒素/酸素で,どちらの酸素濃度も21%である.噴射ガスが窒素/酸素である場合の発光履歴にはピークはなく,発光形態は噴射ジェットの通過域の全体が発光している.これに対して,量論のプロパン/酸素の場合には発光期間後期にピークを持つ.発光形態は噴射ガスの先頭であると思われる箇所のみで発光がることが明らかになった.これらの結果は高温の既燃ガスに含まれている物質と噴射新規に含まれる酸素とによって作り出される物質えお噴射新気に含まれる燃料が消費することによって反応し,反応誘起期間を経て着火に至る,という機構が浮かび上がってきた. ここでの既燃ガスの温度は低温度酸化反応が支配的な温度領域の中で最も高温域に相当する.将来的には噴射されたガスの発光スペクトルを採取してゆく予定であるが,その前に典型的な低温度炎の発光スペクトルを採取することとした.低温度炎はポーリングバ-ナで作った.燃料はジエチルエーテルである.これまで青炎と冷炎を区別できる波長としてはOHの306nmシステムが知られているが,そのほかに720nmと810nmでも可能であることが明らかになった.さらに冷炎の発光はそのときの酸素消費量に依存していることが明らかになった.
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