研究概要 |
柔軟マルチボディシステムは複数の低剛性(振動を生じやすい)の物体(ボディ)をつなぎ合わせた構造を持ち,そのつなぎ目が関節のように動くシステムである.その代表例に多自由度マニピュレータ,宇宙構造物などがある.柔軟マルチボディシステムは力学モデルが非常に複雑になり,その動きの解析や制御なども容易ではないが,近年その重要性が増してきている. 本研究課題では,研究代表者が以前より提案していた柔軟構造物の制振制御法を,柔軟マルチボディシステムのような非常に多くの入出力を備えているシステムに適用できるよう拡張を行なった.この方法を利用すれば,比較的簡単に柔軟マルチボディシステムの分散振動抑制制御が実現可能である.従来法でも,各ボディの制振制御を局所的に行う分散振動抑制制御の実現は可能であった.ところが,各ボディにセンサ(計測器)やアクチュエータ(動力機)が複数設置され,非常に多くの入出力を備える柔軟マルチボディシステムには適用できなかった.今回の拡張でこのようなシステムにも簡単に分散振動抑制制御が実現できる制御法が提案できた. さらに,本研究課題では昨年度まで構築していた実験装置をマルチボディシステムの実験が可能なように拡張を行なった.従前の装置は1リンク系であったが,改良により最大3リンクまで実現可能になった.また,振動を計測するための計測機器などの追加も行なった. 今年度は制御については理論の提案のみであったが,改良を施した実験装置により,今後この理論の検証を行なう予定である.
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