研究概要 |
現在一般の人が皮膚の微妙な変化を知る方法としては鏡を見る,自分の手触り感に頼るなどの主観的な方法しかない。客観的な肌状態の評価方法としては肌荒れや皺を画像的に取り込むマイクロスコープ,表皮水分含有量を計測する経表皮性水分喪失分量器や高周波伝導度計,皮膚組織内の赤血球の動きを計測するレーザードップラー血流計測器,さらに皮膚の伸展性や粘弾性を計測する皮膚吸引カトメーターやねじりメーターがすでに開発されており医療現場に応用されている。しかしながら,これらの機器は高価でありその取り扱いに専門的な知識を必要とする。そこで本研究は受感材として高分子圧電フィルムを用いた触覚センサを試作し、保護膜などを使用し改良を行った。試作改良したセンサを用いてまず、掌、腕、足の裏など表面粗さの明らかに異なる部位について測定し信号処理を行い判別可能であることを確認した。更に精度を向上させために、同じ部位の皮膚を薬品で意図的に荒れた状態にし、薬品を使う前と後で計測を行いデータを解析した。その際に比較検討のために、皮膚表面の電気伝導度を測定するSkiconメータと水分損失量を測定するエバポリメータにより、脱脂前と脱脂後の値を測定した。それらとの対応のために、現在肌の状態を表すのに最適な情報をどのように表すべきか様々な信号処理を行っている。またこれらの実験によってセンサ表面にの保護膜状に付ける砥粒を対象とする表面粗さに対応できるようなものにする必要があり、さらにPVDFをはりつけた母材については対象物との接触で生じる振動を吸収していない物にする必要があることが分かった。
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