本研究では、新設配電用変電所の地理的最適配置を数理的にかつ効率的に決定することを目的とし、計算幾何学と地理情報処理という新たな断面からのアプローチであるボロノイ図を導入した新設配電用変電所の最適配置決定手法を開発した。開発した手法では、まず、既設の配電用変電所の電力供給地域を負荷点から変電所までの距離と変電所の容量ならびに負荷密集度を考慮した重み付きボロノイ図で表現し、ボロノイ図が持つ幾何学的性質(最大空白円)を用いてどの変電所からも距離がかなり離れている箇所を新設配電用変電所の配置候補箇所として見つけ出す。続いて、それらの候補箇所に新設配電用変電所を配置した際のボロノイ図をそれぞれ作成し、供給地域の評価を負荷点から変電所までの距離と変電所容量をコストで換算した関数値で行い、最も評価の高かった候補を新設配電所の配置箇所として決定する。なお、開発した手法を用いて多くの数値シミュレーションを行い、その結果より開発手法の有用性を検証した。本研究を通して得られた成果、ならびに、それらに関連した研究成果は、電気学会を中心に国内外で口頭発表している。本研究で開発した手法を用いれば、新設配電用変電所と新設配電線の最適配置を全て計算機上で決定することが可能となるため、総合自動化が急速に進められている配電系統の運用面ならびに計画面からの支援に寄与できると思われる。
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