研究概要 |
ACからDCへの変換器として電圧形コンバータが広く用いられているが,SMESや核融合など誘導性負荷に対しては電流形コンバータが用いられている。従来から使用されているサイリスタで構成された電流形コンバータでは無効電流や高調波電流を発生し,これに対して高力率化と入力電流の高調波抑制のためにIGBTやGTOなどの自己消弧素子を用いた電流形PWMコンバータの研究が為されている。電流形PWMコンバータでは,電流指令変更時に交流側LCフィルタにより発生する共振電流のために過電圧や過電流を引き起こし,この抑制法として交流電流電圧の各種フィードバック制御法が報告されている。 本研究では,交流側の電圧電流をフィードバックするのではなく、有効電流指令値の変化率に制限を設けるだけのオープンループでLC共振電流抑制を実現するもので,交流側検出器の除去,制御処理の簡単化が実現できる。この結果,システムの小形化,軽量化,低価格化および制御用CPUの低レベル化などが期待できる。以下に得られた成果をまとめる。 1.過渡時の入力電流指令値をステップ的に変化させるのではなく,ランプ状に変化させる共振電流抑制アルゴリズムを開発した。 2.シミュレーションによりランプ状の入力電流指令値の最大傾きと共振電流抑制効果の関係を明確にし,最大傾きの理論的な設計式を導出した。 3.実験により定常および過渡状態の本提案方式と従来のフィードバックによる共振電流抑制効果および負荷電流の過渡応答特性を比較し,本方式の制御性能を明確にした。 4.提案方式の共振電流抑制効果を電流制御周期,PWMのスイッチング周波数,LCフィルタの共振周波数の面から検討し,本制御法の適用範囲を明確にした。
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