研究概要 |
高性能新型圧電単結晶材料として報告者らが見いだしたLa_3Ga_<5.5>Nb_<0.5>O_<14>(以下LGN)に関して、バルク単結晶の作製、高品質・安定成長条件、融解性、結晶の均質性・完全性、圧電特性、デバイス特性等に関する、基礎から応用まで幅広く解明した。更に、LGNを基調に、同原子価・異種原子価陽イオン置換により新しい高性能置換体材料を開発し、それらの結晶作製、結晶性、圧電特性についても明らかにした。 具体的には、 1.LGNバルク単結晶化:LGNのバルク状単結晶化を高周波誘導加熱型引き上げ法にて行い、実用化の指針となる直径2インチの結晶化に成功した。 2.結晶学的物性評価:得られた結晶の結晶学的物性、即ち、格子定数、密度、圧電定数、電気機械結合係数等の測定を行った。また詳しい結晶構造の報告がないため、単結晶X線回折により精密な結晶構造解析を行った結果、置換元素のNb^<5+>は結晶構造中の3種類の配位席(4, 6, 8配位)のうち6配位席のみを占有することがわかった。 3.工学的応用物性評価:引き上げ法で作成した単結晶を用いて実際にフィルターやレゾネーター等のデバイスを作成し、フィルターでは帯域幅、レゾネーターでは高次発振及び周波数温度係数を測定した。その結果、あらゆる点で高性能材料と報告されているLa_3Ga_5SiO_<14>(以下LGS)より優れた特性を示した。 4.新しい材料探索:LGNを構成するNb^<5+>をTa^<5+>等、5価の価数を持つ陽イオンで置換した。結果、LGNを構成するNb^<5+>をTa^<5+>で置換したLa_3Ta_<0.5>Ga_<5.5>O_<14>という新物質の開発に成功、単結晶化にも成功しLGNと同様LGSを上回る特性を示した。
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