研究課題/領域番号 |
08750353
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
電子・電気材料工学
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
渡辺 正裕 東京工業大学, 量子効果エレクトロニクス研究センター, 助教授 (00251637)
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研究期間 (年度) |
1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
1996年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | 金属絶縁体半導体ヘテロ構造 / シリコンナノ微結晶 / 弗化カルシウム / 量子閉じこめ効果 / フォトルミネッセンス / 電流注入発光 |
研究概要 |
本研究は、シリコン基板上にエピタキシャル結晶形成可能な超格子材料を用いた発光・受光デバイスを実現するための基礎研究として、これまで報告者らにより開拓されたシリコン基板上へのナノクリスタルシリコン/弗化カルシウム(絶縁体)ヘテロ構造形成技術を確立し、さらに、得られた結晶の発光特性を明らかにすることを目的とする。 この目的を達成するため、本年度は以下の成果を得た。 (1) 金属/絶縁体ヘテロ構造形成に用いる材料としては、薄膜エピタキシャル成長の条件が既に明らかとなっているシリコン(Si)、絶縁体として弗化カルシウム(CaF_2)、さらに金属としてコバルトシリサイド(CoSi_2)を用いた。半導体及び金属の凝集しやすい性質を人工的に制御して金属(半導体)ナノ微結晶を形成し、その形状および密度を走査型電子顕微鏡、および走査型トンネル顕微鏡を用いて観察することにより最適化した。特に本年度は、CaF_2/Si(111)上への半導体シリコンおよび金属コバルトシリサイド微結晶形成の基礎実験を、基板温度、成長速度の条件を変化させて行い、金属コバルトシリサイドおよび半導体シリコン微結晶のサイズおよび密度分布を制御する条件を明かにした。その結果、同時蒸着法を導入すると、量子効果の発現が期待できるナノメートルサイズ(〜5nm)のシリコンおよびコバルトシリサイド微粒子を絶縁体弗化カルシウム中に高密度に形成できることをはじめて明らかにした。 (2) 同時蒸着法により得られたシリコンナノ微結晶試料に透明電極を形成し、電流注入発光測定を行ったところ、室温において、ほぼ白色の可視発光をはじめて観測した。スペクトル幅は可視光領域をほぼ全域に渡りカバー(波長400-700nm)し、発光強度は注入電流に対してほぼ線形に応答した。電流注入発光のメカニズムとして、現状ではシリコンナノ微結晶中での量子準位間発光モデルを仮定しているが、発光メカニズムの正確な特定は今後の課題である。 本研究の成果は、シリコン基板上エピタキシャル金属/半導体/絶縁体ヘテロ構造発光・受光デバイス実現の可能性を示唆するものであり、今後、基礎物性的な知見とともに、デバイス応用の観点からも広大な学問分野が開ける可能性を有する。
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