研究概要 |
多元スパッタリング法を用いて、(Pb,La)TiO_3(PLT)薄膜を比較的低温の460℃で作製することに成功した。得られたPLT薄膜は温度による比誘電率の変化、及び比誘電率の周波数分散の小さい特性を示した。La含有量を増加させることにより、リ-ク電流の立ち上がり電圧が増加し、比誘電率の膜厚依存性の小さな試料を得ることができた。膜厚100nmのPLT(La/Ti=0.28)薄膜は比誘電率396で、5V(500kV/cm)印可時のリ-ク電流は、10^<-7>A/cm^2台であった。この結果より、多元スパッタリング法を用いて作製した(Pb,La)TiO_3薄膜はDRAMの容量絶縁膜に応用するのに十分な可能性を有していると結論できる。 ECR(Electron Cyclotron Resonance)スパッタリング法により、Bi_4Ti_3O_<12>薄膜を作製した。化学量論組成ターゲットBi_4Ti_3O_<12>を用いた場合では、基板からBiが再蒸発するため、ペロブスカイト単相薄膜を得ることはできなかった。一方、Biを過剰にしたターゲットBi_2TiO_5を用いた場合は基板温度600℃以上でペロブスカイト単相を得ることができた。スパッタ条件により薄膜の結晶構造、電気的特性は変化した。スパッタ時のガス圧力を低下させると、Bi含有量が低下し、結晶構造は、a軸配向から、(117)面配向、c軸配向、パイロクロア相とペロブスカイト相の混合相へと変化した。Ir/SiO_2/Si基板上ではPt/SiO_2/Si基板と比較して低いガス圧でもペロブスカイト相が生成しやすい傾向がみられた。Pt/SiO_2/Si基板上に(117)面配向した薄膜では、残留分極(Pr)と抗電界(Ec)はそれぞれ、10.9C/cm^2、149kV/cmであり、c軸配向した薄膜では、Pr:3.9C/cm^2、Ec:104kV/cmであった。
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