研究課題/領域番号 |
08750385
|
研究種目 |
奨励研究(A)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
電子・電気材料工学
|
研究機関 | 理化学研究所 |
研究代表者 |
安井 孝成 理化学研究所, 光発生・計測研究チーム, フロンティア研究員 (20241250)
|
研究期間 (年度) |
1996
|
研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
|
配分額 *注記 |
1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
1996年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
|
キーワード | II-VI族半導体 / THz / ショットキー界面 / 量子井戸 / ノイズ / LOフォノン散乱 |
研究概要 |
本研究の目標は、THz帯周波数領域でのキャリア散乱ノイズをLOフォノン散乱を利用して抑制することにある。今年度は、予備的実験としてGaAsショットキーダイオードのノイズの周波数特性を測定し、またZnSe上の絶縁膜堆積を試みた。ノイズは、ヘテロダイン検波後にスペクトルアナライザーで測定した。絶縁膜堆積はGaAsで既に成功している常圧CVD法によった。以上の実験で明らかになったことは、ノイズがショットキー(金属・半導体)界面近傍の欠陥や不純物に大きく依存し、界面欠陥の低減が大きな課題だということである。界面近傍に欠陥が混入すると、数KHzからMHz以上の熱雑音が増大する為、ヘテロダイン受信周波数領域(MHz以上)で受信感度が低下する。従来、GaAs・金属界面近傍の欠陥低減が困難であったが、現状では再現性良く低損傷界面を得ることに成功し、良好なデバイスを作製する手段が確立されつつある。ZnSe上の絶縁膜堆積はGaAsとは異なる問題が明らかになり、ショットキーダイオードを製作するまでには至らなかった。ZnSe上の絶縁膜は膜厚が不均一であり、またフォトルミネッセンス測定から、ZnSeの品質が劣化したことも確認した。この理由は、常圧CVD法の温度(設定350℃)がZnSeの成長時の基板温度(約250℃)より高いためにZnSeの結晶性が劣化したと考えられる。現在、常圧CVD法の温度設定や、他の絶縁膜堆積法の検討を行っている。 本研究はII-VI族半導体のLOフォノンカップリングの大きいことを利用し、GaAsでは起こりにくい、キャリアのLOフォノン散乱によるTHz帯のノイズ特性制御をめざしたが、新たな問題に直面しており、II-VI族半導体の特徴を生かせないのが現状である。金属・半導体界面制御の問題は、GaAsに比べII-VI族半導体ではさらに未解明な点が多く、今後の研究課題となる。
|