研究概要 |
この研究では,移動体から観測される動画像を時空間画像解析することにより,都市空間の形状・テクスチャ情報を自動的に獲得することを目標としており,そのための都市空間の3次元モデル生成のための基本的処理方式に関する研究を行った.この手法は,従来の手作業による局所的かつ高精細なモデル化と互いに補い合うものであり,両者を融合することにより,用途に応じた柔軟な都市空間モデルが実現できる.平成8年度においては,以下の各項目に関し研究を進めてきた. ・時空間画像解析手法の基礎的検討 画像解析により物体の幾何学的形状や表面の物性モデルを得ることは,年長にわたりコンピュータビジョン分野で研究されてきた.しかし現実的には,複雑な屋外情景を対象にした場合,安定した結果を得るのはいまだに困難な問題である.この手法では,道路を移動する車両から得られた動画像を時空間画像解析手法により処理することで,車両移動軌跡からの奥行きと物体表面の模様(テクスチャ)を同時に獲得できる.得られるモデルデータは3次元(画像平面の2次元と時間軸)である動画像から,2次元画像へとデータ量が飛躍的に減少しており,広域に渡るモデルを蓄積するのに極めて有効である. ・都市モデルからの効率的な画像合成手法の検討 上記解析手法によって得られた都市空間モデルは,何らかの手段により画像へと再構成されるが,その際には設定された経路や視点に自由度を許す必要がある.視点が対象に近付くにつれ,蓄積された都市空間モデルのテクスチャ解像度が不足する.したがって画像生成を行う場合にはテクスチャの補間処理を行うことが必要である.ここでは奥行き値を考慮した効率的な補間画像生成手法に対する検討を加えた.
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