研究概要 |
情報化社会の進展にともない,音声・画像・データ等多種多様な形態を有する情報を統一的に扱うことが可能なディジタル通信が今後ますます重要な位置を占めるものと予想される.ディジタル通信では,送受信者間で正しく同期を確立する必要がある.従来,同期を確立するために送信フレームの前後に同期獲得用に一定のパターンを有するビットシーケンスを挿入し、これを検出することにより同期を確立する手法が一般的であった.しかしながら,この方法はフレーム長が短くなれば伝送効率を大きく劣化させてしまう.このため,ATM方式などでは,伝送誤りを検出するためにあらかじめフレームに付加されているCRCを利用することにより同期誤りの検出を行う手法も検討されている.これらの手法では,同期誤りを検出した際に正しいフレーム開始位置を試行錯誤的に探索することにより同期を獲得するため,同期獲得までに数フレームが失われてしまう. 本研究ではまず,巡回符号を用いて構成することができる新しい同期誤り訂正符号を提案した.本手法は、巡回符号の一種であるReed-Solomon符号と交錯法を用いる手法であり,容易に符号化器を実現可能であるという特徴を有する.さらに非同期状態からの回復操作は通常のReed-Solomon符号の復号器の一部を利用して行うことが可能であるために復号のために特別な装置を必要としないという特徴をも有している.次に提案した符号を用いて,符号フレーム中に生じた挿入ビット誤り,および,削除ビット誤りの位置をそれぞれ推定することが可能な符号を提案し,そのパフォーマンスを明らかにした.
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