研究概要 |
本研究では,TCPを高速通信網のインフラとして期待されているATM上を使用した際の性能について評価を行った。特に、TCPの輻輳制御アルゴリズムに焦点をあてた。ATMのサービスクラスとしては、実現が容易であるUBRサービスクラスを仮定した。複数のTCPストリームが単一のボルトネックを共用する場合に関して、シミュレーションを行い、同一ウインドウ中で複数のパケット廃棄が起きる場合に関して特に着目し考察した。その結果、次のことを明らかにした。 1.4.3BSD-Tahoeで用いられている輻輳制御アルゴリズムを1ウインドウ中に複数の再送を許さないように改良することによってTCPの性能を改善することができる。 4.3BSD-Renoで用いられている輻輳制御アルゴリズムは高速ネットワークにおいては4.3BSD-Tahoeで用いられているものよりも、タイムアウトを引き起こしやすくスループットが低下する。 3.各種パラメータに関しては次のことが言える。 (1)ピークセルレート(PCR)は1.0である方が、スループットは高くなる。 (2)中継ノードのバッファサイズは大きい方がより高いスループット得ることができる。 (3)ネットワーク距離が長くなるとスループットは減少する。 (4)パケットサイズは、小さすぎても大きすぎてもスループットは低下することから、性能向上のためには最適なパケットサイズを設定する必要がある。 (5)TCPの再送タイマチェック間隔は、パケット往復時間(RTT:Round Trip Time)より小さくないタイムアウトが起きた際のパケット送信停止時間が長くなり、TCPの性能を大幅に劣化させることとなる。
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