研究概要 |
目的 石英ガラスに電界(5kV/mm)を印加する事により2次の非線形光学性が生じ、赤外光を入射することによりその半分の波長の緑色の可視光を発する。光デバイスとしてはこの緑色を発する相(SHG相)の微細化が必要になる。1994年、電界分極石英ガラスに紫外レーザーを長時間照射することにより2次の非線形光学性が著しく減少することが報告され、SHG相の微細構造化に道を開いた。今回我々は予め電界を印加してSHG相を作成した石英ガラスに種々の条件でレーザー照射を行い、その消失条件を詳細に調べた。 実験 溶融石英ガラス(GE124、直径20mm、厚さ1mm)を用い、250℃に保温しながら4.8kVの高電界を印加した。20分後、電界を印加したまま室温まで徐冷し、その後電界を0にした。SHG測定には、Nd:YAGI laserの赤外光(1=1.06mm)を用い、得られた緑色のSHG信号を光電子増倍管で検出した。レーザー照射効果は1波長依存性、2照射強度依存性、の2点を調べるため、1についてはλ=532nm(Nd:YAG laserの2倍波)とλ=248nm(KrF excimer laser)の2種類のレーザーを用いて、それぞれ50mJ/cm^2/pulseで50発照射してSHG相消去を試み、一方2についてはλ=248nm(KrF excimer laser)のfluenceを10,25,50,100mJ/cm^2pulseに変化させ、1と同様にSHGの消去を試みた。 結果 1において、入射するレーザー光の波長依存性においてはSHG強度の減少はλ=248nm(KrF excimer laser)の紫外光の場合のみ観測され、50発照射でSHG強度はおよそ300分の1以下に減少した。一方、可視光(λ=532nm)の場合には50発以上照射しても全く減少しなかった。 2において、紫外レーザー光のfluenceを変化させたところ、10mJ/cm^2/pulseではほとんどSHG信号強度は減少せず、最低でも25mJ/cm^2/pulseの照射エネルギーが必要であった。そして50〜100mJ/cm^2/pulse程度でSHG強度の減少が飽和した。 結論 以上の研究より電界分極石英ガラスのSHG相の微細加工には紫外レーザーを使って25〜50mJ/cm^2/pulse程度の照射エネルギーで照射することが必要であることがいえた。
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