研究概要 |
ディジタル磁気記録における信号処理方式として,積分検出方式を採用した場合,従来良く知られているクラスVIパ-シャルレスポンス方式と異なり,低域遮断が必要となる。積分検出方式における再生等化には,ナイキスト等化が行われるが,ナイキスト等化の際のパラメータと低域遮断における遮断周波数の検討により,新たな検出方式の可能性が見出された.そこで,積分検出方式について等化方式の検討を行った結果,パラメータを変更することにより,低域遮断を受けたナイキスト波形であるにも関わらず,疑似的にPR(1,0,-1)特性を示すことが明らかとなり,しきい値検出において,通常の積分検出方式に比べて,疑似的なPR(1,0,-1)特性を示す新たな方式では、所望の誤り率を達成する所要SN比が約0.9dB改善されることが明らかとなった. 更に,次世代の記録方式として盛んに研究が行われている垂直記録に対しても信号処理方式の検討が重要となる.垂直記録の中でも,特に複合膜主磁極型単磁極ベッドを用いた垂直記録は,特に線形性が良いとの報告がなされており,信号処理方式としてPRML方式の採用が,特に適していると考えられる.そこで,まず,複合膜主磁極型単磁極ヘッドの試作ヘッドを用いた実験により得られた再生波形の近似波形を基にシミュレーションを行って,PRML方式の適用が可能であることを確認し,検討した中では,PR(1,0,0,0,-1)方式が良好な特性を示すということが明らかとなっていた。その際,試作ヘッドの構造は,非磁性膜と主磁極膜の膜厚の比が等しい場合であったが,今回の検討の結果,複合膜主磁極型単磁極ヘッドの比磁性膜の厚みが主磁極膜の厚みの2倍のとき,良好な誤り率特性を示し,PR(1,0,-1,1,0,-1)方式とPR(1,0,-1,0,0,1,0,-1)方式が良好な誤り率特性を示すことが明らかとなった.
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