研究概要 |
本研究のグリッドレス配線手法では,配線領域を幾何学的に図形として取り扱うということが主要な操作である。従って,図形の記憶・削除・検索といった基本操作を効率良く行うためのデータ構造がシステムの性能に大きな影響を与える。そこで,従来のグリッドレス配線手法に用いられているデータ構造の欠点を改良したコーナースティッチングと呼ばれるデータ構造を用いた。 配線処理を分散化する手法としては、以下のようなものを考えた。 step1:与えられた配線領域全体を幾つかの部分領域に分割する。この際,個々の部分領域用に生成されるネットリスト(配線要求)は,その領域内だけで完結している(その領域内にすべての端子を含む)ネットだけを含むものとし,その他のネットを構成する端子等は配線禁止領域として扱う。 step2:個々の部分領域をネットワークに接続されている複数の計算機に割り当て,独立に並行して配線処理を行う。 step3:隣接する2つの部分領域を併合する。この際に生成されるネットリストには,併合前の部分領域で配線できなかったネット,および併合された領域で新たに完結したネットが含まれる。 step4:併合された個々の領域をネットワークに接続されている複数の計算機に割り当て,独立に並行して配線処理を行う。 step5:併合された領域が与えられた配線領域全体になるまでstep3,4を繰り返す。 以上のグリッドレスルータを構築し,幾つかの配線データに適用し,動作を確認し,実行速度および配線の質等を従来手法と比較し,本手法の有用性を検討した。なお,これらの成果は現在整理中でまだ発表していないため,次頁の研究発表の欄は空であるが,なるべく早い機会に発表したいと考えている。
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