研究概要 |
1)飼育鳥の繁殖管理及び野鳥の営巣調査 ヒメ鶉と錦花鳥、十姉妹、セキセイインコ及びオカメインコの親鳥を飼育し、産卵繁殖させている。ヒメ鶉は早成離巣性種で卵質量は約6gであり、従来から計測してきた早成種の中で最小の卵である。後の四種は晩成種である。胚平均心拍数のアロメトリー特性を知るには,卵質量が広い範囲に及ぶ必要があるので、許可を得て野鳥の営巣について予備調査を行い、セグロセキレイ、シジュウカラ及びハシボソカラスの卵を採取し、心拍数無侵襲計測の予備実験も行い、今後の研究に展望を開いた。 2)ヒメ鶉胚の心拍数成長パターン: 早成種としては従来の卵の中で最小である、卵質量約6gのヒメ鶉胚について、日令6日から15日まで、オ-ディオカートリッジ(BCG法)により測定した。心拍数は約300bpmから350bpmへ漸増し、嘴打前に一時低下し、嘴打によって増加する成長パターンを示した。鶏及び日本産鶉(卵質量約10g)と孔雀胚の中間に近いパターンといえる。今回の結果と過去において取得したダチョウを含む早成離巣性8種の家禽卵の心拍数(HR、孵卵期間80%)アロメトリー特性は、HR=434・Mass^<-0.123>(Mass:卵質量,g)で示された。 晩成種胚の心拍数成長パターン: 現在まで、予備的に報告できるものはセキセイインコ、セグロセキレイ及びハシボソカラスがあり、以上の鳥も含めて錦花鳥、十姉妹及びオカメインコについては計測とデータ処理中である。卵質量約2.3gのセグロセキレイはアコーストカ-ディオグラム法で、卵がほぼ同じ大きさのセキセイインコはBCG法で測定、後者については、孵卵末期の瞬時心拍数に、鶏胚で発見された特異的な一過性徐脈が記録された。卵質量約1.4g(ドテツバメ)から約22g(ハシボソカラス)を含む晩成7種の心拍数アロメトリー特性は、嘴打中にはHR=398・Mass^<-0.108>で示された。今後の研究には酸素摂取量の計測も行うことによって、発展が期待できる。
|