研究概要 |
本研究は,サンドイッチ構造の実施工例である神戸港港島トンネル沈埋函部上床版を対象に,外殻綱板鋼材比(=pc=pt)1%でせん断補強鋼板の配置方法を実験変数とした供試体全14体に対し,せん断スパン高さ比(=a/d=M/Qd)を0.83〜1.33とする逆対称4点曲げ試験を行い、そのせん断耐荷機構を考察したものである.以下に本研究で得られた結論を列記する. (1)大半の供試体は,コアコンクリート内の圧縮力を伝達する対角線に沿った斜めひび割れを生じて終局状態に至った。また,コアコネクタの有無が耐荷力に及ぼす影響は顕著ではなかった.なお,その半数において斜めひび割れ発生以降の耐荷力上昇が認められた. (2)指針案での算定値と供試体の最大耐荷力を比較すると,算定値は安全側の評価を与えた.特にダイヤフラムとフルウエブが混在する場合ではかなり安全側に位置する傾向が認められた. (3)フルウエブを配置した供試体の耐荷力に及ぼす部材幅の影響は,指針案にて提唱されるように部材の幅の平方根に反比例する傾向が認められた. (4)ダイヤフラムのみが存在する場合の供試体の挙動は(静定)トラスモデルにより精度良く評価できた.すなわち,この場合ではトラス機構以外の分担力は存在しなかった.また,コアコンクリートの部材幅を簡便に設定することにより供試体のせん断変形角内の閉角の挙動を良好に評価でした.なお,開角はコアコンクリートと鋼殻の肌離れの影響により過小評価となった. (5)ダイヤフラムとフルウエブが混在する場合に対処するために,上記トラスモデルにフルウエブに相当する引張斜材を付加した不静定トラスモデルを提案した.同モデルは上記(静定)トラスモデルに比して良好な挙動を与えた.特にフルウエブに対しては精度良いものとなった.また上記同様にせん断変形角内の閉角の評価も可能であった. 6)ダイヤフラムのみが存在する場合の供試体の挙動は,鋼とコンクリートの界面にその肌離れや滑りを表現する接触要素を付加した有限要素モデルにより概ね再現できた.
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