研究概要 |
本研究は,地盤土(砂質土)への一次元注入実験に基づいて,間隙構造特性(特に,開発した「空気圧入法」により計測する間隙径分布)の観点から,砂層内の注入材挙動を究明したものである. 砂質土の間隙構造を明確にするため,間隙径分布データを補足して,粒度と間隙径分布の関係を検討した結果, 1.粒度の均等係数の増大に伴い,間隙径の分布範囲は広くなる, 2.しかしながら,粒度に関係なく,間隙径分布は狭い範囲で頻度がかなり高くなる均等な分布型となり,また,平均間隙径は平均粒径の約3割となる, ことが得られた.一方,注入実験に基づいて砂層の間隙径と注入材粒径の関係を調べた結果, 3.砂層内に侵入可能な注入材粒径は,砂層の平均間隙径の約6割以下,平均粒径の約2割以下の大きさである, 4.注入材粒径の平均間隙径に対する比率が変化するに伴って,砂層の高さ(50cm)方向における注入材の侵入長や注入量分布が変化する,具体的には,その比率が4〜6割のとき注入材は砂層中央部まで侵入するが注入量は砂層上部に集中し,3割程度のとき砂層上部から下部にかけて一様な注入量分布が得られるとともに砂層通過量が増加する, ことが判明した.また,注入後の平均間隙径が注入前のものに較べて1〜2割減少することから, 5.注入材の挙動には,注入開始直後は砂層の間隙径分布が影響するが,注入時間の経過に伴って,形成される二次的な間隙径分布(注入材粒子間,注入材粒子と砂粒子間の間隙径)の影響が大きくなると予想された.
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