研究概要 |
1.本研究の目的は,水路湾曲部の剥離領域に形成された組織構造に注目し,それらの諸特性を踏まえて剥離せん断層の構造を解明することである.対象とする流れ場は,当初,90度の単湾曲水路を想定していたが,水工学的な観点から,蛇行水路において各実験を行った. 2.レーザ流速計を用いた平均流速および乱れの統計量の測定においては,蛇行水路の凸岸下流の剥離領域では、減速域となり主流速の乱れ強度(u),横断方向流速の乱れ強度(w)およびレイノルズ応力(-<uw>^^^-)の横方向分布が,直線水路の流れのそれらに比べて著しく増加することが明らかとなった.また,同領域における主流速,乱れの統計量の鉛直方向分布においても,水表面付近の顕著な減速やそこでの負のレイノルズ応力(-<uv>^^^-)の発生など,通常の壁乱流と異なる特徴が見られた.これらより,剥離領域はきわめて複雑な速度場の構造を有することが明らかとなった. 3.剥離領域における組織構造をDPTVを用いて考察した.本手法は,組織構造の流脈形象と速度情報が同時に抽出できるものである.これを流れの縦断面および水平断面に適用した.その結果,剥離領域には流れの3方向に大規模なスケールを有する組織構造が形成され,その形成領域は,高せん断領域と対応することが明らかとなった.また,その組織構造は大規模な二次流れの形成にも重要な役割を果たしていることが明らかとなった.これらの成果をまとめ土木学会論文集に投稿した結果,掲載可となった. 4.水平断面では,水平スリット光膜の光量の不足で,鮮明な可視化データを得ることができなかった.これについては,光源に強力なレーザー光を使うなど改良が必要である.この問題を克服し,水平断面におけるせん断構造と組織構造の解明が今後の重要な課題である.
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