研究概要 |
まず、浸出水中のプラスチック添加剤の濃度を3箇所の処分場の浸出水及びその処理水について分析をおこなった。GC/MSによる分析からは、多くの種類のプラスチック添加剤などが浸出水から検出された。今回検出された物質は、プラスチック添加剤としては、フタル酸エステル,リン酸トリエステル,N-buthyl benzensulfonamide,2(3H)-Benzothiazolone,Camphor,Bis phenole Aであり、特にBis phenole Aは、1ppm以上の高濃度で検出された。 次にナノろ過膜を用いて、浸出水の処理を試み、NaCl阻止率などナノろ過膜の基本的性能パラメーターと微量有機物質および重金属の阻止率の関係を求めた。重金属については、塩化物イオンの阻止率に比べて非常に高く、ヒ素を除いて比較的よく除去されていたが、個々の有機物質については、物質ごとに阻止率が大きく異なった。ベンゼン環にヒドロキシル基が結合した構造を持つフェノール系の化合物の阻止率が低いことなど、溶質の分子量以外にも阻止率に影響を与える因子があることがわかった。ただし、純物質の溶液系では、浸出水のろ過の場合は比較して、分子量と阻止率の相関が比較的よかった。 ナノろ過膜を用いて浸出水が地下水にはいった場合を想定し、稀薄な溶液中に含まれる有機微量化合物の阻止性能を調べた。1気圧の低圧運転でも0.1m/dのフラックスと硝酸の阻止率で85%の阻止率を得た。C1イオンの阻止率を膜の標準脱塩率と考えると、硝酸イオン,有機塩素化合物の阻止率は標準値よりも小さく、重金属の阻止率は標準値に比べて大きくなることがわかった。
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