大規模宅地造成等により環境破壊が進む仙台市において、自然と調和した都市づくりの指針を明らかにするための、面的・基礎的な資料を整備した。 1.人工衛星データを活用した土地被覆分布図、地表面温度分布図の作成 1995年10月および1985年6月の2時期の、アメリカの人工衛星ランドサット5号のTMデータのうちband3及び4を用いた。土地被覆分布図の作成は特に「緑地」に着目し、正規化植生指標と呼ばれる植生の活性度を算定し分布図に表した。2時期のデータ比較による経年変化の考察を通じて、市街地郊外部の山林を大規模に宅地造成している現状を確認した。地表面温度分布図の作成はband6データを用い、CCT値から輝度温度に変換し、図化を行った。観測時刻が午前10時前のため、市街地部分はさほど昇温していなかったが、特に臨海工業地区、空港(滑走路)が高温域として着目された。また試行的に国土数値情報の土地利用データを用いた人工排熱分布図の作成を行った。 2.仙台各地の風速・風向の調査と図化 仙台市内に立地する既存の気象観測所11地点における風速風向資料を入手し、夏季(7&8月)時刻別の解析・図化を行った。海陸風により日中と夜間で風向風速とも状況は大きく異なり、日中は主として南南東風が、夜間は主として北風がどの観測所においても観測されていた。主風向は比較的安定した状況であった。 3.既存地図情報により大気汚染源の特定と図化 供給処理施設、大規模製造工場などを主たる対象とし、大気汚染物質発生源の位置の特定・図化を行った。工場の分布は、市街地の東側郊外にある工業地区および臨海部(仙台港周辺)に集中しているが、このほかにも比較的市街地中心部に混在する形で工場が点在している様子が見受けられた。風向風速の解析結果と合わせてこの状況を考察すると、少なからず都市の大気汚染に影響を及ぼしていることが推量された。
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