研究概要 |
本研究プロジェクトは,これまで高分解能電子顕微鏡法およびX線回折法で進めてきた準結晶および周辺結晶相の構造解析に,多次元周期格子を3次元空間に置き直す投影法を連携して,準結晶および周辺結晶相の構造を総合的に解釈することを目的としている.本研究では,当初の研究計画に基づきAl-Co-Ni-Tb系およびAl-Rh-Cu系正10角形準結晶の構造解析を行った(既報).Al-Co-Ni-Tb系準結晶の研究では,構造が5回対称を有するタイル張りによって説明できること,また,新たにS1型の長周期反射が観測できたなどの研究成果をあげることができた.研究代表者らは,正10角形準結晶の構造単位として,新たに星形クラスター,クラウン形クラスターおよび六角形クラスターを提唱し,これらのクラスターによって多くの準結晶の構造がモデル化できることを示した.Al-Rh-Cu系準結晶の研究では,さらに準結晶の構造的研究をすすめ,本研究で提唱した3種類のクラスターを構成する原子配列のモデルを提唱し,高分解能電子顕微鏡法で得られた構造像とシミュレーションによって得られた構造像とを比較検討することによって,Al-Rh-Cu系準結晶の基本的な構造を原子レベルで明らかにした.
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