研究概要 |
本研究では、まず予備実験としてMA法を用いてハード磁性相(Nd_2Fe_<14>B相)とソフト磁性相(α-Fe)をナノスケールで混合した場合に、各ミリング時間においてハード磁性相(Nd_2Fe_<14>B)の磁気特性がどの様であるのかを実験的に調べた。これは(1)の論文としてまとめられている。 次にハード相とソフト相の最適混合組成の決定を行った。まずミリング時間を一定にして、最適割合を求めた。その結果、良好な保磁力を得るためには70〜80%のハード磁性相を含む必要があることが確認され、Nd_2Fe_<14>B-20%Feとした場合に最大の保磁力である400kA/mを得た。またNd_2Fe_<14>B-25%Fe組成において80kJ/m^3の最大エネルギー積が得られた。 先に求めた最適混合割合(Nd_2Fe_<14>B-25%Fe)を元に、適切なミリング時間の決定を行った。具体的には種々の割合のハード相とソフト相をMAし、MA時間に対する磁気特性の影響を評価することで求めた。その結果144ksが最適MA時間であることが判明した。 さらに適切な熱処理温度について調べたところ,保磁力および磁気特性の劣化の原因となるNd_<1.1>Fe_4B_4相生成に伴うNd割合の減少が起こることから873K以下であることが判明した。 以上の研究で、最適の組成混合割合、MA時間および熱処理温度がそれぞれ求められた。次に保磁力の向上を目的として、添加元素の磁気特性に与える影響について調べた。具体的にはNd_2Fe_<14>B-25%Fe組成にCrまたはCuを添加した組成の粉末を144ksミリングし、その効果について調べた。その結果、保磁力とエネルギー積の双方の特性向上が確認された。 この各添加元素が磁気特性へ与える影響については、J.of Applied Physicsに“Magnetic Hardening Mechanism in Nanocrystalline Nd2Fe14B with 0.1 at% addition of Cr,Cu or Zr"の題目で投稿予定である。
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