研究概要 |
ガスタービン動翼の表面は1000℃近い高温になるのに対し,内部は空冷されているので,部材は厚さ方向に大きな温度勾配を生じる.主として,この温度の分布の不均一により残留応力を生じると考えられる.疲労き裂の発生および伝播に及ぼすの溶接残留応力の影響について,調べた研究はこれまで多くなざれている.しかし,単結晶材の残留応力測定は,溶接材等の多結晶材とは手法が全く異なることもあり,研究例はほとんどない.また,これまではX線写真を用いて解析を行っていたため,測定精度に問題があった.そこで,背面反射結晶振動カメラとイメージングプレートを用いることにより,データ解析をデジタル化し,測定精度を高めることにより,今までほとんど研究例のないNi基超合金単結晶の残留応力測定のを行った.応力解析のためには少なくとも3方向の格子ひずみを求めなければならないため,(1)試料面と入射X線のなす角が鉛直軸のまわりに連続的に可変であること,(2)試料が水平軸(入射X線軸)のまわりに連続的に可変であることが必要とされる.この測定に用いる結晶振動カメラを作製した.回折X線の測定には,イメージングプレートを用い,データはデジタル化しパソコンで解析を行った.まず,装置のキャリブレーションを行うために,小型の試験片引張り冶具を作製し,荷重を負荷しひずみゲージによりひずみを測定た.フックの法則より負荷応力を求め,単結晶振動カメラの測定応力の検定を行った.しかし,現段階では,応力の測定精度が十分でないため,装置の改良をさらに進める必要ある.
|