研究概要 |
本研究では,ナノ結晶が集合し高次構造を形成する過程のin situ解析を試みることにより,高次構造の形成メカニズムやその機能特性発現機構を解明すると共に,これを基に高次構造制御による新規機能材料の創製を試み,このような新しい観点からの材料設計手法を拓くことを目的とした. まず申請者が従来検討を進めてきた,無電解析出法による非導電表面上へのNiPアモルファス薄膜およびCo系垂直磁気異方性薄膜の析出過程について,タッピングモード原子間力顕微鏡(TMAFM)を用いてnmレベルの定量解析を行った.TMAFMは試料表面に与えるダメ-ジが極めて小さいため,初期核発生時からμmオーダー厚程度までの成長過程の連続的観察が可能である.得られた像よりRMSラフネス値を算出し,これを基にスケーリング解析を行った.その結果,膜成長状態は初期の核発生密度に大きく依存し,その差異により高次構造形成モードが変化することが明らかとなった.このような核発生密度の差異について,析出基板表面の電気化学的触媒活性度という観点から詳細に検討を加え,その影響を明らかにすると共に,化学的処理プロセスにより触媒活性度の積極的制御が可能であることを明らかとした。 一方,このような初期析出時においては,核発生密度によらず,膜成長と共にRMSラフネスが減少する,即ちレベリング作用が生じていることが明らかとなった.これは通常の手法(スパッタ・MBE等)における薄膜成長とは全く異なる,非導電基板上への無電解析出特有の現象であり,今後このような特徴を利用したナノレベル微細構造制御の糸口が得られた.
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