研究概要 |
アンモニア還元法は,屋内あるいは車内などの閉鎖空間に進入する希薄なNOxの処理には不適切であり,前段階として,分離・濃縮システムが必要である.この分離・濃縮システムが満たすべき条件は,非常にコンパクトな装置でありながら,膨大な処理能力を有することである. 本研究では,NOxの分離・濃縮のための新規なイオン交換体の開発への第一段階として,市販の強塩基性陰イオン交換樹脂を用いた、NOxガスの吸着実験、およびNOxガスの吸着に影響を及ぼす可能性のある水蒸気の吸着実験を行った。さらに、新規な酸性ガス吸着剤として、強塩基性陰イオン交換樹脂にキトサンを添着した。 市販の強塩基性陰イオン交換樹脂として、三菱化学製のダイヤイオンHPA25を選択した。この樹脂はトリメチルアンモニウム基を官能基として持つ粒径約0.3μmの微小粒子の集合体である。マクロ粒子径は385μmで、真密度が1.16×10^3kg/m^3、交換容量は2.77mol/kgであった。 NOxの吸着はバッチ法で行った。圧力を2-25kPaの範囲で吸着実験を行った。平衡に達するまで約1日を要した。これを均一拡散モデルと相関したところ、吸着前半ではよい一致を見せたが、後半では吸着速度が遅くなる傾向が現れた。これに比べて、水蒸気の吸着は3時間以内に平衡に達し、均一拡散モデルともよく一致した。水蒸気の吸着平衡関係はFreundlich型の吸着等温線で相関できた。 HPA25にキトサンを添着した。キトサン3%、酢酸2.5%の水溶液を調整し、これにHPA25を20日間浸した。取り出した樹脂を遠心分離器にかけた後、水酸化ナトリウム水溶液に3日間浸した。取り出した樹脂を純水で十分に洗浄した後、真空乾燥した。得られた樹脂の真密度から算出されたキトサン添着量は、10wt%であった。
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