研究課題/領域番号 |
08750918
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
生物・生体工学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
倉田 博之 東京大学, 工学系研究科・化学生命工学専攻, 助手 (90251371)
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研究期間 (年度) |
1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1996年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | フィトクロム / 植物培養細胞 / 光 / gus / RbcS |
研究概要 |
植物培養細胞の二次代謝物生産の光による促進は、光をエネルギーとして利用する藻類や光合成細菌とは異なり、光は信号として利用される。フィトクロムやクリプトクロムが光信号を受容するレセプターとして知られている。フィトクロムは赤色光によって活性化させ、近赤外光によって可逆的に不活性化するタンパク質である。我々の目的はフィトクロム遺伝子を過剰発現することによって植物培養細胞において特定の遺伝子発現を光制御することである。タバコ培養細胞にCaMV35Sプロモーターを融合したフィトクロム遺伝子とその制御を受けるRbcS3Aプロモーターを融合したレポーター遺伝子(gus)を導入した。 フィトクロム遺伝子を過剰発現させた系においては光照射下でgus遺伝子の発現は1.5から3倍に促進された。しかし、gus遺伝子の発現を促進させるためには数日の光照射が必要であり、当初期待された植物体におけるような数時間による活性の変化は観察されなかった。ウエスタンブロットにより培養細胞中のフィトクロムの発現量を測定したところ、完全暗所で培養した細胞からはフィトクロムが検出されたが、光照射下で培養した細胞のフィトクロムは発現量は低下した。培養細胞においても植物体と同様なフィトクロム分解系が働いていることが示唆された。 フィトクロムを用いた組換え植物培養細胞系をバイオリアクターにおいて制御する上で重要な指針を与えると考えられる。また、植物の二次代謝物生産への応用としてアントシアニン生成に関わる二次代謝酵素の遺伝子やニチニチソウ(植物体)の生産する有用医薬品であるvinblastine,vincristineがフィトクロムの制御を受けていることから、今後、これらにフィトクロム遺伝子を導入することは生産を制御する上で興味深い。
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