研究概要 |
レソルシノールとアセトアルデヒド,および,2-メチルレソルシノールとホルムアルデヒドジエチルアセタールの環化縮合反応により得られる,環状4量体(カリックス[4]レソルシナレン)の分子外周部にある8個の水酸基を反応部位に利用して,分子周辺部にエステル,カルボン酸,水酸基が揃った化合物を得ることができた.^1H NMR,IRの測定によって,目的である分子表面に同一の官能基を多数有する化合物であることを確認した. 種々のベンジルハライドと吸湿性の高いカリックス[4]レソルシナレンの反応については,これまで,水の存在下でベンジルハライドの加水分解などの副反応が起こるためあまり反応性が高くなかった.また,カリックス[4]レソルシナレンには,反応部位である水酸基を8個も持っているため,そのすべてが反応することなく,一部が未反応の物質との混合物として得られた.しかし,反応直前に,カリックス[4]レソルシナレンに含まれる水を高温減圧下で十分に除去するという条件設定により,飛躍的に反応性が向上し,8カ所の水酸基がすべて反応した目的物を得た(収率70%程度).また,分子表面にある官能基変換についても検討したところ,これも,良好な収率(50〜70%)で目的物を得た. 今回得られた化合物の構造は,カリックス[4]レソルシナレンにある8つの水酸基に置換したベンジルオキシ基が,立体障害のもっとも小さくなるように位置し,非常に対称性のよいコンホメ-シヨンをとっていることが,^1H NMR測定の結果から示唆された.
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