研究概要 |
本研究では、種々の機能基を側鎖に有する非天然アミノ酸を含んだ人工タンパク質「超タンパク質」を合成することにより、種々の人工機能をタンパク質に与えることを目的としている。そのために、4塩基からなる遺伝コードとそれを読み取るtRNAを用いることで、タンパク質中に部位特異的に非天然アミノ酸を導入することを試みた。 まず、ジヌクレオチドの3'末端に非天然アミノ酸の結合したアミノアシルジヌクレオチドを化学合成し、一方、4遺伝コドンを認識する塩基配列をもち、末端のジヌクレオチドを欠いたtRNAをT7RNAポリメラーゼを用いて合成した。この2つをT4RNAリガーゼを用いて連結し、非天然アミノ酸を担持したtRNAを合成した。また、ストレプトアビジンをコードし、特定部位に4遺伝コドンをもつmRNAを、T7RNAポリメラーゼにより合成した。これらを大腸菌のin vitroタンパク質合成系に加え、タンパク質の発現をウエスタンブロットにより検出した。 その結果、AGG由来の4塩基コドン、AGGN(N=U,G,C,A)の他にも、CGG由来の4塩基コドン、CGGN(N=U,G,C,A)は全て非天然アミノ酸を導入することが可能であることが確認された。さらにストレプトアビジンの52位にAGGU、83位にCGGGを導入し、それぞれを読み取るtRNAにアンスリルアラニンとニトロフェニルアラニンを結合させておくことにより、独立に2つの非天然アミノ酸をタンパク質中の2カ所に導入することが可能であった。 この手法を用いることにより、任意の2種類の機能基を特定部位に導入したタンパク質を設計・合成することが可能になるものと思われる。
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