破壊靭性試験のISRM推奨案では、採取した岩石を規定の形状・精度に整形する必要がある。しかし、このような整形を行うことができる岩石は、インタクトなものがほとんどであり、潜在亀裂を多数有する岩石では、一般に整形が困難であるか、整形し得たとしても不正確さを免れ得ないことが多い。そこで、比較的簡単な整形で得られる岩石衝撃硬度数RIHNを用いて、破壊靭性値を評価し得るか否かについて検討した。 その結果、非線形補正前の破壊靭性値および非線形補正後の破壊靭性値と岩石衝撃硬度数の間には正の相関が認められることが分かった。これは、衝撃破砕試験では打撃により発生する亀裂が供試体全体に及んでいるのに対し、破壊靭性試験では2つの破断面が形成されるという相違点はあるが、両者とも亀裂の進展性を表すパラメータであるという意味で類似しているためであると考えられる。また、非線形補正後の破壊靭性値と岩石衝撃硬度数の相関よりも非線形補正前の破壊靭性値と岩石衝撃硬度数との相関の方が強いことが分かった。これは、衝撃破砕試験では、供試体に動的な荷重を与えるために非線形度が小さくなり、破壊亀裂進展の際、線形弾性体に近い挙動を示すためである。 以上のことから、比較的簡単な試験方法により得られる岩石衝撃硬度数から亀裂の進展性を表す破壊靭性値の概値を推定することが可能であることが分かった。
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