研究概要 |
イネではトウモロコシ内在性のAc/Dsトランスポゾンが導入され、転移が確認されているもののAc/Dsの転移頻度が低いこと等により、未だ遺伝子がタギングされていないのが現状である。本研究ではイネの細胞質雄性不稔の稔性回復を支配する稔性回復遺伝子のタギングを目的にトウモロコシ内在性のトランスポゾンで転移頻度の高いことが報告されているMuトランスポゾンのイネへの導入を試みた。 1.パーティクルガン法を用いたイネへの遺伝子導入 ハイグロマイシン耐性遺伝子(hpt)をコーティングした金粒子をパーティクルガンによりイネ完熟種子に打ち込み、得られた種子カルスをハイグロマイシンで選抜して耐性カルスを得た。耐性カルスを再分化培地に移植し、得られた再分化イネについて、PCRおよびサザンハイブリダイゼーションにより、hptの導入を確認した。 2.Muトランスポゾンを含むプラスミドの構築 Muトランスポゾンの中で、転移頻度の高い非自律性トランスポゾンであるMulをhptおよびβ-グルクロニダーゼ遺伝子のプロモーター領域に挿入したプラスミドをそれぞれ構築した(プラスミド1,2)。次に、Muトランスポゾンのトランスポゼ-ス遺伝子と考えられているMuRAを含むプラスミドの構築を行った(プラスミド3)。Mulはトランスポゼ-スなしでは転移出来ない。したがって、プラスミド3とプラスミド1または2をイネに導入し、MulがMuRAによって転移した場合、ハイグロマイシン耐性カルスまたはGUS染色で着色するカルスが得られると考えられる。現在、これらの構築プラスミドをイネに導入し、Mulの転移を調査中である。
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