研究概要 |
アブラナ科植物の自家不和合性認識機構を解明を目的として、雌しべ側の認識物質であるSLG (S-locus glycoprotein), SRK (S-receptor kinase)と相互作用する花粉、柱頭側の遺伝子を、酵母を使ったTwo-hybrid systemで、単離することを計画した。 まず、レセプター型のprotein kinaseをコードしているSRKのkinase domainをプラスミドベクターpVP16, pBTM116に読み枠があうようにクローニングした。また、分泌型のSLGのシグナルペプチドを除いた部分を、同様にクローニングした。それぞれの遺伝子の2種類のプラスミドを、酵母(L40)に形質転換し、-Leu/Trpの培地にまいた。両方のプラスミドを有している酵母について、その相互作用を調べるために、-Leu/Trp/-Hisの培地に継代し、バックグラウンドとして発現しているHisの発現を阻害する2-ATを加えた。SLG9をそれぞれのベクターにクローニングしたものを形質転換した酵母では、-Leu/Trp/-Hisの培地の生育は観察されなかった。一方、SRK-kinase domainをクローニングしたプラスミド相互では、わずかながら、酵母の生育が見られ、相互作用があるものと判断できた。SLGを組み込んだ酵母においてタンパク質の発現を電気泳動によって調べたところ、発現は確認されなかった。このことから、SLG相互作用が検出できなかった一因であると考えられた。 pBTM116-SLGをbait(えさ)として、花粉で発現している相互作用する遺伝子の探索を目的として、1核期葯cDNAライブラリーを作製した。同様に、pBTM116-SRK-KDをbaitとして、柱頭中での相互作用する遺伝子探索のために、cDNAライブラリーを作製した。現在、作製した柱頭cDNAライブラリーをpVP16にライゲーションし、相互作用のある遺伝子を探索中である。
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