研究概要 |
実験材料としてチューリップ‘Gander'を用いた.6月に入手したりん茎を20℃で8週間貯蔵した後,2℃12, 18, 30週間の低温を与えた.低温処理後のりん茎を12, 16, 20℃に設定した人工照明栽培室内で水耕栽培を行った. 同じ温度で栽培した場合, 2℃低温処理期間が長いほど到花日数(植付けから開花までの日数)が双曲線状に短くなった一方で,開花時までに母球からシュートに分配された乾物重は小さくなった.シュートの植付けから開花までの相対生長率は2次曲線で近似された. 低温処理期間が同じものでは,栽培温度が短いほど到花日数が大きくなり,その間の関係は双曲線で近似することができた.また,植付けから開花までの相対生長率は低下し,その間の関係は直線で近似することができた.一方,開花時までに母球からシュートに分配された乾物重は大きくなった. 以上のように,到花日数,相対生長率は,りん茎の低温処理期間あるいは栽培温度の関数として表すことができた.植付け時におけるシュートの乾物重,到花日数,相対生長率の3要因を独立した変数とみなして開花時における乾物重の再構成を試み,りん茎の貯蔵法や栽培環境による切り花品質のシミュレートの可能性を示した.
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