研究概要 |
2倍体のカキ属種D.glandulosa(2n=30,x=15)と6倍体のカキ品種D.kaki cv.Jiro(2n=90,x=15)のプロトプラストを単離し、電気融合した。改変KM8p培地で培養し、得られたカルスの相対核DNA含量をフローサイトメーターで測定した。約9割のカルスの核DNA含量がD.glandulosaとD.kaki cv.Jiroの核DNA含量の和であり、8倍体種間雑種カルスであると考えられた。カルスのRAPD分析を行ったところ、8倍体カルスはいずれもD.glandulosaとD.kaki cv.Jiroの双方に特異的バンドを有しており、種間雑種カルスであることが確認できた。また8倍体カルスのうち約17%のカルスは継代4回後に、染色体の偶発的倍加が起こり、16倍体になったことが明らかとなった。種間雑種カルスのうち16倍体1系統を含む約4割の系統から不定芽分化が認められた。得られたシュートのRAPD分析及びPCR-RFLPクロロプラストDNA分析から、種間雑種シュートは両親の核ゲノムを持っているが、葉緑体ゲノムはD.glandulosa由来のゲノムしか持たず、葉緑体ゲノムの選択的排除が起こった可能性が示唆された。。またフローサイトメーター分析によりシュートの倍数性は維持されていることが確認できた。16倍体シュートからの発根は認められなかったものの、8倍体シュートからは正常に発根し、その染色体数は両親の和である2n=120であることが明らかとなった。 以上の研究より、プロトプラスト融合によりカキにおいて初の種間雑種が作出され、またこれまで存在しなかった倍数性のカキが得られた。
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