研究課題/領域番号 |
08760080
|
研究種目 |
奨励研究(A)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
応用微生物学・応用生物化学
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
栗原 達夫 京都大学, 化学研究所, 助手 (70243087)
|
研究期間 (年度) |
1996
|
研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
|
配分額 *注記 |
1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
1996年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
|
キーワード | フルオロ酢酸デハロゲナーゼ / 反応機構 / 部位特異的変異 / タンデムMS / MS法 |
研究概要 |
Moraxella sp.B由来のフルオロ酢酸デハロゲナーゼH-1は各種ハロ酢酸の加水分解的脱ハロゲン反応を触媒し、グルコール酸を生成する酵素であり炭素-フッ素結合の加水分解的開裂を触媒できる唯一の酵素である。本研究では、環境浄化等に有用なデハロゲナーゼの分子設計を行うことを目標に、本酵素の触媒機構と触媒中心残基の役割を検討した。ハロ酢酸の加水分解的脱ハロゲン反応の機構としては、酸性アミノ酸残基の側鎖カルボキシル基の求核攻撃によって生成するエステル中間体を経由するものと、塩基性残基に活性化された水分子が基質を直接攻撃するものとの2つが考えられる。本研究では、エステル中間体経由の反応を触媒する既知の酵素との比較から、本酵素においてそれぞれ求核残基、水分子活性化残基、ハロゲン引き抜き残基に対応すると推測されたAsp105、His272、Arg106の機能を解析した。まずH_2^<18>O中で反応を行った野生型酵素をトリプシンで分解し、Asp105を含むペプチド断片をタンデムMS/MS法で分析したところ、Asp105に^<18>Oが取り込まれていた。また本酵素は、基質共存下で、水分子よりも強い求核性をもつヒドロキシルアミンと濃度依存的な失活を起こした。一方、H272N変異酵素を基質と反応させると酵素の分子量が約58増加し、^<14>C標識した基質と反応させると酵素分子に放射活性の取り込みが見られた。またArg106の変異により基質特異性が変化した。以上の結果、本酵素反応では、まずAsp105の側鎖カルボキシル基が基質のα-炭素を求核攻撃してハライドイオンが脱離し、次いで、酵素と基質からなるエステル中間体が溶媒の水分子によって加水分解されると考えられた。そして、水分子の活性化にはHis272の、ハロゲン引き抜きにはArg106の関与がそれぞれ示唆された。
|