研究課題/領域番号 |
08760092
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
応用微生物学・応用生物化学
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
土居 克実 九州大学, 農学部, 教務員 (40253520)
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研究期間 (年度) |
1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1996年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | Streptomyces / morphological Differentiation / metabolic differentiation / Sequence / Phosposerine phosphatase / min D / Fusion protein |
研究概要 |
抗生物質チオストレプトン(TS)生産菌Streptomyces azureus PK100C株の染色体DNAライブラリーより以下の形質を示す2.5kbのDNA断片をクローニングした。本断片を保持した組換えプラスミドを導入した形質転換株(BalA1株)は、気菌糸形成能を欠損していた。また、BalA1株は親株であるPK100Cをはじめるとする数種のTS耐性を示す放線菌株の生育を阻害する抗菌物質を生産し、S.coelicolor A3(2)の色素性抗生物質であるウンデシルプロディギオシンの生産を早期誘導する物質を生産していた。これらの形質は、2.5kb断片上に形態分化と二次代謝の多面形質発現に機能する遺伝子が存在することによると推測した。 本2.5kb断片の塩基配列を決定し、フレーム解析を行ったところ、orf834とorf489の2つの放線菌特有なORFが確認された。このうちorf489は3'側領域を欠損しており、不完全なORFであった。これら2つのORFの相同性を検索した結果、塩基配列レベルでは有意な相同性を示す配列は見つからなかった。アミノ酸配列レベルでは、orf834、orf489はそれぞれMycobacterium lepraeのphosphoserine phosphatase様タンパク質、Bacillus subtilisのセブタ(隔壁)形成に関与するタンパク質MinDのN末端部分と相同性を示した。この結果より、orf834をpspSA、orf489をminDSAと命名した。 B.subtilisのMinDはセプタが正しい位置に形成されるために必要なタンパク質であり、その活性が変化すると菌の形状にも変化が現れることが報告されている。BalA1株においては不完全なminDSA産物が発現することで、正常なminDSA産物の作用を阻害し、固体培養菌体での気菌糸形成阻害になったと推察された。そこで、PK100C株の染色体DNAライブラリーよりorf489をプローブとしたコロニーハイブリダイゼーションによって完全な形のminDSA遺伝子のクローニングに成功した。現在、orf489の上流域の配列を決定している。 一方、pspSA産物は、セリン生合成系で作用するE.coliや他の生物種のphosphoserine phosphataseとは一部の領域しか相同性を示さないことから,別の系で作用するphosphataseと考えられ、二次代謝の制御機構に関与していると推測した。さらに、pspSA産物の機能を解析するためpGEX-5X-1ベクターを用いて大腸菌内での発現を試みたところ、不溶性の目的蛋白質の蓄積は認められたが、可溶性のものは得られなかった
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