研究課題/領域番号 |
08760112
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
生物生産化学・応用有機化学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
中山 二郎 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (40217930)
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研究期間 (年度) |
1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1996年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 腸球菌 / Enterococcus faecalis / ペプチドフェロモン / プラスミド / 接合伝達 / ラベルフェロモン / 細胞内受容体 / 膜透過 |
研究概要 |
腸球菌Enterococcus faecalisが分泌する細菌の性ペプチドフェロモンは、溶血素、バクテリオシン、そして種々の薬剤耐性などをコードしているプラスミドの接合伝達を活性化する。本研究では、プラスミド供与菌がどのようなメカニズムにより性ペプチドフェロモンのシグナルを感知しているかということを明らかにするために、トリチウムラベルフェロモンを調製し、以下の事実を明らかにした。フェロモンは細胞壁そして細胞膜を透過し、細胞内へ取り込まれる。次に、フェロモンはTraAというフェロモン受容体に結合し、そのTraAがプラスミド接合伝達に必要なタンパク質等の発現を活性化するという仕組みである。またTraAの機能を解析するために、TraAを大腸菌にて大量発現し、ラベルフェロモンとの相互作用を研究した。非常に興味深いことに、この性ペプチドフェロモンは現在までに5種類の物が構造決定されているが、演者らが研究したバクテリオシンをコードするプラスミドpPD1のTraAフェロモン受容体は、一種類のペプチドフェロモンのみを結合した。つまりフェロモンとプラスミドは受容体によるフェロモンの認識という観点において一対一の関係にあるということがいえる。このようにペプチド性のシグナル物質が細胞膜を透過し、細胞内の制御タンパク質に直接結合し活性化させる機構は、今まで細菌の世界のみならず、全生物界であまり知られておらず、きちんと証明されたのは今回が世界で初めてであると考えている。
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