研究概要 |
本研究は、現在までに得られた圧縮木材の寸法安定化技術を強化単板積層材(強化LVL)の製造に応用し、強化LVLを木質構造接合部材として利用しようとするものである。寸法安定化処理として、低分子量フェノール樹脂含浸処理および密閉加熱処理を試み、強化LVLの最適製造条件を確立するとともに、前者について接合部材としての可能性を検討した。得られた結果を以下に示す。 1.積層した低分子量フェノール樹脂含浸スギロータリーレース単板を130℃の熱板で約3分の1に加熱圧縮した場合、樹脂濃度が15%以上で、強度性能および寸法安定性に優れた強化LVLが得られた。この時、重量増加率ほ26.2%、密度は1.27g/cm^3、曲げヤング率は25.0Gpa、曲げ強さは240MPa、圧縮強さは145.4MPa、水平せん断強さ20.8MPa、衝撃吸収エネルギーは48.6kJ/m^2であった。 2.密閉加熱処理(井上雅文ら:木材研究・資料,No.29,1993)では、単板含水率か8%以上、製品の比重が0.6以上、加熱条件が180℃、8分間以上で寸法安定性に優れた強化LVLが得られた。接着剤にイソシアネート樹脂を用いた場合、8分間加熱後の治具内部圧力は2.5MPaを越えた。密閉熱処理LVLの曲げヤング率、曲げ強さ、衝撃吸収エネルギーは、開放状態で製造した場合に比べ、ほとんど変化は認められなかった。水平せん断強さは、比重が0.8以上で若干低下した。 3.上記強化LVLの強度性能は、木質建築物の構造材として多<利用されているべイマツ集成材の約7倍であり、接合板として利用できる可能性が示唆された。また、一部の単板を直行に積層した方が、せん断力に対しても繊維傾角の影響が少なくばり、粘り強い接合板が得られた。
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