研究概要 |
無菌化された本微細藻Gymnodinium A3をESM培地、21.5℃、3,500 lux、約60日間培養して得られた本多糖の構造は-4)-β-D-Galp(1-のガラクタンのC-2に硫酸基がエステル結合し、C-3に乳酸基がエーテル結合している乳酸含有硫酸ガラクタンと解析された。 本多糖はヒトリンパ細胞系のMT-4、CEM、Molt-4、U-937細胞に対してそれぞれ、CC_<50>=2.7、5.0、13.7、17.3μg/mlの濃度で強い細胞毒性が認められた。 この多糖は定常期の細胞(MRC-5、MDCK、Vero、MKN-28)に対して200μg/mlでも細胞毒性が認められないが、MKN-28の増殖期には細胞毒性が認められた(CC_<50>=32 μg/ml)。これらのことより、本多糖は細胞殺傷効果よりも細胞増殖抑制効果を有しているものと考えられる。 本多糖のBーリンパ系幹細胞のB95-8(浮遊細胞)とその付着型B-95-aに対する毒性試験では、同じ細胞でありながら浮遊している細胞に対しより強い毒性を示した(それぞれ、CC_<50>=10.0、20.3μg/ml)。本多糖は細胞毒性を有するものの、高分子のため細胞内酵素やオルガネラに直接、攻撃しているとは考えにくい。このため、アポトーシスの関与について引き続き実験を行った。本多糖の示すMT-4細胞に対する毒性について、そのメカニズムを調べた。 本多糖で処理されたMT-4細胞は、P.I.法によるフローサイトメトリーでもアポトーシス特有のDNAフラグメントが現れ、May-Giemsa染色による光学顕微鏡観察でも特有のアポトーシス体が観察された。また、In situ DNAフラグメントの末端ラベルでアポトーシス特有のラダーバントの確認が得られた。これらのことから、本多糖は細胞に対してアポトーシスを起こさせている事が示唆された。
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