研究概要 |
ミクロネシア連邦ヤップ島の推進5〜10mにおいて採集された海綿Dysidea herbaciaの水抽出物はマウスに対して腹腔内投与で興奮性神経毒特有の症状を引き起こすことが見出されたので、Sephadex LH20,C18逆相HPLC等を用いて活性化合物の単離を行った。その結果、200gの海綿から約7mgの新規アミノ酸Dysiherbaineが単離された。Dysiherbaineは、分子式C_<12>H_<20>N_2O_7のdi-amino,di-acidであり、その構造は各種NMR,質量スペクトル等を解析することによってcis-hexahydrofuro[3,2-b]pyran環を中心とした新規骨格を持つ化合物であると決定された。またその相対立体配置は、NOE実験に加えて、HETLOC及びPSHMBCスペクトルを用いて測定した^<2,3>J_<CH>を解析することにより決定された。Dysiherbaineはラット脳より調製されたシナプス膜標品に対する[^3H]kainic acid および[^3H]AMPAの結合をそれぞれlC_<50>=59,224nMの濃度で阻害したが、NMDAレセプターに対するアゴニストである[^3H]CGS-19755の結合は阻害しなかった。また腹腔内投与によりマウスは、脇腹をむやみに掻く行動("scratching"、20μg/kg)、テンカン様の痙攣(1.3mg/kg)を示した。さらに投与量を上げると激しい発作の後死亡した(6.5mg/kg)。これらのin vivoおよびin vitroアッセイの結果DysiherbaineはKainateおよびAMPAサブタイプのグルタミン酸受容体の選択的なアゴニストであることを強く示唆した。
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