研究課題/領域番号 |
08760205
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
水産化学
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研究機関 | (財)サントリー生物有機科学研究所 |
研究代表者 |
安田 明和 (財)サントリー生物有機科学研究所, 研究員 (90211614)
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研究期間 (年度) |
1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1996年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 甲殻類血糖上昇ホルモン / 脱皮抑制ホルモン / アミノ酸配列 / ホッコクアカエビ / ミナミイセエビ / ガザミ / イシダタミヤドカリ |
研究概要 |
アメリカザリガニの眼柄には全く同じアミノ酸配列をなす2種類の血糖上昇ホルモンが存在するが、その1つはD型アミノ酸を含んでいる。このような構造異性化は甲殻類に共通の現象なのであろうか?そこで甲殻類十脚目を構成するコエビ族、イセエビ族、カニ族、ヤドカリ族の眼柄ホルモンを単離し構造を解明することが、構造異性化を含めた分子多様性と機能分化の相関関係を解く手がかりになる。本研究は、ホッコクアカエビ、ミナミイセエビ、ガザミ、イシダタミヤドカリのサイナス腺から血糖上昇ホルモンおよび脱皮抑制ホルモンを単離し、その一次構造から眼柄ホルモンの分子多様性を化学分類したものである。 1.単離:ホッコクアカエビ、ミナミイセエビ、ガザミ、イシダタミヤドカリのサイナス腺を30%アセトニトリルを含む生理食塩水でホモジネートし、抽出物をTSK gel ODS 120Tカラムを用いた逆相高速液体クロマトグラフィーに付し、血糖上昇ホルモン(CHH)および脱皮抑制ホルモン(MTH)得た。2:構造解析:ホッコクアカエビでは2種類のCHH(分子量:8660と8405)とMIH(8923と8938)が存在していた。ミナミイセエビでは分子量8281と8258の2種類のCHHが存在していた。ガザミでは1種類のCHH(MW=8468)とMIH(MW=9251)が存在した。イシダタミヤドカリも同様に1種類のCHH(MW=8632)とMIH(MW=9009)が存在した。ホッコクアカエビ、ミナミイセエビで見いだされたホルモン分子は、いずれもアミノ酸残基が置換した変異体によるものであった。また、上記のホルモン分子にはD型アミノ酸は含有されてなかった。従って、CHH分子のステレオ転化による分子多様性はザリガニ族特有のものであることが判明した。以上のことからザリガニにおける新たな翻訳後修飾の方法としてのD型アミノ酸への異性化と機能分化は、進化の過程において比較的最近の出来事であると考えている。
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